斎藤英喜『読み替えられた日本神話』
講談社現代新書 756円 単著 (2006年12月)
目次
プロローグ
秘められた「中世日本紀」とは/日本神話の不幸を超えて/『古事記』だけが日本神話ではない
第一章 古代神話を読む
1 荒ぶる英雄神スサノオ
追放される神/変貌するスサノオ/英雄と怪物の両義性
2 「シャーマン王」オオクニヌシ
複数の名前をもつ神/死と再生の物語/ヴィジョン・クエストとしての根の国訪問/
王への成長/神々の争闘/国譲りの条件とは/出雲大社という謎/冥界としての出雲
3 アマテラス、戦う女神から皇祖神へ
新しいアマテラス像を求めて/戦う女神、アマテラス/物質変成の魔術/
アマテラスの敗北/岩戸神話、<死>と<再生>/岩戸からの再臨、そして「鏡」のなかへ/
伊勢神宮の深層へ/アマテラスの祟りを占う/平安内裏のアマテラス
第二章 『古事記』『日本書紀』の成立と平安王朝の神話学
1 『古事記』『日本書紀』の生成
『古事記』と『日本書紀』で違う神話/『記』『紀』が成立した時代とは/
古事記の成り立ち/成立背景に隠されていること/グローバル・スタンダードをめざす神話/
ローカル・アイデンティティとしての『古事記』/『日本書紀』から「日本紀」へ
2 平安王朝の神話学
もうひとつの平安文化へ/日本紀講とはなにか/『古事記』はサブテキストのひとつ/
日本紀講で何が講義されているか/「発見」された聖徳太子の神話テキスト/
誰が偽作したのか/祭祀系氏族の神話テキスト/『古語拾遺』が語る神話とは/
『源氏物語』と「日本紀」
第三章 「中世日本紀」の饗宴
1 驚異の中世日本紀
竹取物語も「日本紀」?/ヒルコのその後/ヒルコがエビスになる理由/
卜部氏と「日本紀」の関係は/なぜ卜部兼員は「日本紀」を語ったのか/
失われた宝剣の行方
2 「仏」を宿す日本神話
第六天魔王、出現す/虚言ヲ仰ラルヽ神・アマテラス/天の岩戸は南天竺の鉄塔/
即位灌頂と中世日本紀/僧侶が読む「日本紀」
3 神話工房としての伊勢神宮
白蛇が守護する秘書たち/なぜ外宮神官が作ったのか/変奏するトヨウケ神/
トヨウケ=アメノミナカヌシ/神官・最極秘の書物/宇宙発生の光景とは
4 アマテラス、メタモルフォーゼ
アマテラスの宣託を起点にして/起源の巫女・ヤマトヒメが語ったこと/
偽宣託事件、発生/パワースポットとしての荒祭宮/祓えと穢れの神として/
斎宮の寝所に蛇の鱗が・・・・・・/蛇身の神との合一/アマテラス神学へ/
「中世日本紀」が教えてくれること
第四章 『古事記』の再発見から幕末の「日本神話」へ
1 宣長・篤胤の「日本神話」
「古事記伝兵衛」宣長/宣長は近代的な注釈学か/近世神話としての『古事記伝』/
<江戸>の都市空間のなかで/西洋天文学と宇宙生成神話/平田篤胤、登場/
幽冥界の支配神となるオオクニヌシ/仙界に行った少年と出会う/
「久延彦祭式」とは
2 幕末志士たちが読んだ日本神話
後期水戸学と篤胤の系譜/『夜明け前』の日本神話/日本神話の近代へ
第五章 日本神話の「近代」
1 国家神道と日本神話の不幸
アマテラスとオオクニヌシの争闘、ふたたび/国家神道とはなにか/
「教育勅語」という国家神話の創出/ハーン、神々の国の首都へ/
封印されていく日本神話/「日本神話学」と津田史学/津田右吉から『国体の本義』へ/
霊学の系譜と「民俗学」の誕生/折口信夫は日本神話をどう読んだか
2 戦後・ポストモダンの「日本神話」
マルクス主義と「英雄時代」/構造主義が読み解く『古事記』/
南島に古層の神話と求めて/高知県物部村の「いざなぎ流祭文」/
バリケードのなかの『古事記』―吉本隆明/チベット、ドン・ファンの神話―中沢新一/
吉本隆明が中沢新一を評価する理由/宮崎アニメの神話学解釈/
その者、青き衣をまといて―『風の谷のナウシカ』/もうひとつの「ナウシカ」/
爺さんキャラが語る『古事記』/覚醒した中世神話の可能性とは
あとがき
<斎藤英喜の部屋>